Mass Spectrometry Imaging







タンパク質や薬物の質量分析イメージング

レーザーを使うと分子量が数万を超えるような巨大な分子を壊さずにイオン化させることができ,そのイオンの質量分析を行うことでタンパク質や薬物など医療でも重要な分子の分析を行うことができます.
    質量分析と画像観察を組み合わせた「質量分析イメージング」という手法を用いると,質量によって物質を分離して,その物質毎の空間分布を同時に測定することができます.図は,がん細胞内におけるPDT用薬剤PpIXと抗がん剤ドセタキセルの分布を同時に測定した例です.PpIXが抗がん剤耐性を持つがん細胞にも蓄積しているのに対して,抗がん剤耐性を持ったがん細胞内のドセタキセルは少ないことから,PDTが抗がん剤耐性を持ったがん細胞に対しても有効であることが示唆されます.市販の装置では観察できないような細胞レベルの大きさまで観察可能な質量分析イメージング装置の開発も行っています.
    また,生体試料中には非常に多くの物質が混在しているため,液体クロマトグラフで分離してから質量分析を行う手法が広く用いられていますが,通常のレーザーイオン化は真空中で行われるため,液体クロマトグラフと直接接続することができません.そこで,大気中で試料溶液にレーザーを照射してイオン化させ,質量分析と直接接続することで生体試料を高速に分析するための装置開発も行っています.





関連論文

Hiroki Kannen, Shusei Nomura, Hisanao Hazama, Yasufumi Kaneda, Tatsuya Fujino, Kunio Awazu: "Enhancement of Ionization Efficiency Using Zeolite in Matrix-Assisted Laser Desorption/Ionization Mass Spectrometry of Multiple Drugs in Cancer Cells (Mass Spectrometry of Multiple Drugs in Cells Using Zeolite)," Mass Spectrometry 9(1):A0091 (2020).