Photodynamic Diagnosis







消化器・泌尿器がん診断領域の拡張に向けた緑色光励起による光線力学診断の開発

消化器・泌尿器がんに対する内視鏡診断では,正常部位とがん病変部位を区別する基準が不明確である場合が多く,医師の技術・経験に依存するため,がんの見落とし等の誤診が生じます.そこで,次世代の内視鏡診断方法として光線力学診断 (Photodynamic diagnosis; PDD) が注目されています.PDDとはがんを可視化する診断技術です.がん細胞に選択的に集積する薬剤に光を照射すると,薬剤が蛍光(物質にある波長の光を照射したときに生じる異なった波長の光)を発します.そのため,がんが可視化され,誤診を減少させることが可能となります.しかしながら,PDDの問題点として,粘膜内がん (粘膜の下にあるがん) に対しては有効でないことが報告されています.その原因として,PDDに用いられている青色光が粘膜組織による吸収のために強く減衰されてしまい,薬剤まで光が到達しないことが挙げられます.そこで本研究では,青紫色の光より粘膜組織の吸収によって減衰しにくい緑色光を用いたPDDを開発しています.現行のPDDでは蛍光検出が困難であったがんの診断が可能になるため,消化器・泌尿器がんの診断領域の拡張につながります.診断領域の拡張によってがん診断の精度が向上するため,がん死亡率を抑制することが期待されています.



関連論文

Daisuke Ihara, Hisanao Hazama, Takahiro Nishimura, Yoshinori Morita, Kunio Awazu: "Fluorescence detection of deep intramucosal cancer excited by green light for photodynamic diagnosis using protoporphyrin IX induced by 5-aminolevulinic acid: an ex vivo study," Journal of Biomedical Optics 25(6):063809 (2020). 

Hiroki Takijima, Daisuke Ihara, Takahiro Nishimura, Hisanao Hazama, Kunio Awazu: "Investigation of the Exciation Wavelength for Extension of Diagnostic Depth in 5-aminolevulinic Acid-based Photodynamic Diagnosis of Bladder Cancer," Journal of Japan Society for Laser Surgery and Medicine 41(4):297-306 (2021). [in Japanese]