Photodynamic Therapy







光線力学療法における術前治療計画シミュレータの開発

光線力学療法 (Photodynamic therapy; PDT) は腫瘍特異的に集積した光感受性薬剤へ光照射して生じる一重項酸素の殺腫瘍効果に基づいたがん治療法です.悪性脳腫瘍に対するPDTでは,光感受性薬剤が持つ高い腫瘍選択性および照射光の低いエネルギーのために有効性・安全性が臨床的に示されています.PDTの治療効果は光照射箇所,照射光フルエンスや照射時間などのPDドーズ,光・生体組織相互作用によって決まります.しかしながら,現在の有効性・安全性は治療エンドポイントにおける組織構造の観察に基づいて定性評価されています.治療効果を定量的に予測するためには,PDTの作用機序に基づいた評価手法が必要になります.そこで,本研究では悪性脳腫瘍に対するPDTの術前治療計画シミュレータを開発しています.本シミュレータでは,光照射条件に応じて算出したPDドーズ分布や一重項酸素ドーズ分布に基づいて治療効果を算出します.この際,MRIベースの3次元脳数値モデル構築や光伝搬計算を行います.本シミュレータの利用によりPDTの治療効果予測に基づいた照射箇所の術前決定や治療効果モニタリングの実現が期待されています.



関連論文

Atsuki Izumoto, Takahiro Nishimura, Hisanao Hazama, Naokado Ikeda, Yoshinaga Kajimoto, Kunio Awazu: "Singlet oxygen model evaluation of interstitial photodynamic therapy with 5-aminolevulinic acid for malignant brain tumor," Journal of Biomedical Optics 25(6):063803 (2019).