Analysis of Photosensitizer







質量分析を用いたPDTから生成されるPhotoproductの定量・定性分析

光線力学療法 (Photodynamic Therapy; PDT) は低侵襲かつ高い選択性をもつがん治療法です.がん細胞に集積性を示す光感受性物質と特定の波長をもった光照射によって活性酸素による殺細胞過程が誘導されます.しかし,その反応過程では,活性酸素と光感受性薬剤との反応から "Photoproduct" という他物質の生成が伴い,治療効果や安全性への影響が懸念されています.そのため,PDTに対するPhotoproductの影響を分析することが必要になります.先行研究におけるPhotoproductの分析は光学特性に基づいていましたが,一部のPhotoproductは光感受性薬剤と類似した光学特性を有している可能性があるため,不十分であると考えられています.そこで本研究では,Photoproductの分析に質量分析を応用することで,Photoproductやその化学組成・化学構造の特定を試みています.Photoproductの定量・定性分析が実現すれば,PDTに対するPhotoproductの影響評価やPDTにおける光照射量の指標提供につながることが期待されています.



関連論文

Sochi Judith Ogbonna, Hisanao Hazama, Kunio Awazu: "Mass Spectrometric Analysis of the Photobleaching of Protoporphyrin IX Used in Photodynamic Diagnosis and Therapy of Cancer," Photochemistry and Photobiology (2021).