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熱電変換材料の開発

環境にやさしい熱電材料

既存熱電材料には、テルルやビスマスといった有毒で高価な元素が多く用いられています。したがって、様々な産業分野における熱電発電技術の実用化のためには、資源量も豊富で毒性の少ない元素からなる高性能熱電材料の開発が必要不可欠であるといえます。環境エネルギー材料工学領域では、酸化物やシリサイド系材料で高性能熱電材料の開発研究をすすめています。

 Siは代表的な環境調和型元素ですが、熱伝導率が高いために熱電性能が低いという問題点があります。ナノ構造化によって熱伝導率が低減し、熱電性能が向上することは既に知られています。しかし、ナノ構造をいかにバルク材料中に導入するか、というのは難しい課題です。我々のグループでは、Siに少量のCoSi2が混ざったような組成の材料を液相焼結という特殊な方法で焼結することで、Si中に転位線を導入できることを見出しました(図1)。この転位線は熱伝導率を低減し、熱電性能を向上させるのに有効であることを示しました[1]。

 図1 Si/CoSi2 コンポジットの透過型電子顕微鏡(TEM)画像

[1] J. Xie, Y. Ohishi, S. Ichikawa, H. Muta, K. Kurosaki, “Naturally decorated dislocations capable of enhancing multiple-phonon scattering in Si-based thermoelectric composites”, J. Appl. Phys. 123, 115114 (2018).

 

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