准教授挨拶

 当研究室のウェブサイトを訪問くださり,誠にありがとうございます。

 これまで研究室を力強く引っ張ってきてくださった西嶋茂宏教授が 2017年3月を持ちまして惜しまれつつ退官され,4月より福井工業大学に異動されると同時に,大阪大学の名誉教授となられました。西嶋教授の教育と研究にかける情熱を引き継ぎ,量子線生体材料工学領域は2017年4月より新たな1歩を踏み出しました。

 量子線生体材料工学領域の立ち上げからおよそ15年,その中で当研究室の大きな転機は,2011年3月に起こった福島第一原子力発電所事故でした。事故直後は空間線量が非常に高く立ち入ることができなかった地域の一部でも,震災から6年が経過した今,避難指示が解除され,住民の方々の帰還に向けての動きが進みつつありますが,住民の方々が安心して故郷での生活を取り戻すには,まだ解決すべき課題が山積しています。
 また,2020年に開催される東京オリンピックへの機運が高まる裏では,高齢者や子どもが安心して暮らせるとは言いきれない現実があり,また土壌,水,大気の環境汚染も未だ深刻な問題として残っています。これらは根本的には国内にとどまる問題ではなく,地球規模の問題といえます。

 このような複雑な問題を抱える社会の中で,自然と人が共生しながら安全安心,快適に暮らせるようにするために,工学技術ができることは何なのか,常に自分や学生に問い続けながら研究を進めています。具体的に当研究室が検討している技術として,環境浄化,資源回収,新エネルギー,感性工学などが挙げられます。一見すると,それぞれ全く別のテーマのように思えますが,突き詰めていくと,物理や化学の原理にたどり着き,同じような考え方や工夫が全く別のテーマにも活用できる,といったこともあります。

 現在当研究室で行っている研究の多くは,社会に求められている(すなわち,うまくいけば近いうちに人の役に立つ)研究という位置づけになりますが,一方で,すぐには社会に役には立たないかもしれないけれど,遠い将来への夢を与えるような,突拍子もなく面白い研究の芽も,少しずつ育てていきたいと思います。

 研究室の規模としては,これまでより少しコンパクトになりますが,スタッフ,学生とともに丁寧に一歩ずつ,新たな境地を切り開いていきたいと思います。私の好きな言葉の1つに,“山椒は小粒でもぴりりと辛い”ということわざがあります。私自身が小柄であるということもあるのですが,普段は小さく目立たなくとも,時々周りにちょっとした刺激を与えて驚かせる,そんな研究室にしていければと思います。

 どうぞよろしくお願い申し上げます。

2017年4月吉日

秋山 庸子