研究室について

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中性子は、陽子と共に物質を構成する核子(微小な粒子)です。
中性子は、1932年にチャドウィック(Chadwick)博士により発見され、それ以来、人類と深いかかわりを持ってきました。

その最も顕著なつながりが原子炉です。
原子炉の燃料であるウラン(235U)は、核分裂を起こしエネルギーと共に中性子を放出します。人類は、その英知により、付随して発生する中性子を制御し、エネルギーを取り出してきました。しかしながら、長い時間の経過により人は少し油断し、それを自然が厳しく糾弾しました。福島の事故です。私たちはいま、謙虚に反省し、考える必要があります。

原子炉の技術は、生まれて半世紀が経ちました。私たち研究者は、その間に生じた油断という亀裂を修復しながら、同時に次世代エネルギーのことも考えます。それが、核融合炉です。太陽のエネルギー発生機構を地上にもたらそうというものです。核融合反応は、水素を燃料とし、やはり中性子を生成します。現在、ITER(国際熱核融合実験炉)と呼ばれる実験用の核融合炉がフランスのカダラッシュに建設されています。より安全で(臨界事故が無い)、安心な(放射能の生成が少ない)、新しいエネルギー源として注目され、その開発が主要国の協力の下進められています。

また近年では、中性子を、物質の構造を詳しく見る道具、として使用する試みが行われています。大強度の中性子源を用いるもので、日本と米国にそのための大型の陽子加速器が建設されました。日本の施設であるJ-PARCでは、速度が非常に遅い中性子(冷中性子)がつくり出され、最先端の中性子科学研究が行われています。

そして、今、中性子を使った新しいがん治療が広まろうとしています。ほう素中性子捕捉療法(BNCT)です。
より多くのがん患者を、より安全に、確実に治療する新しい放射線治療法として知られ、ついに大阪大学プロジェクトがスタートしました。

中性子は、確かに人間の体に対して有害な影響を与える可能性があります。しかし、それがいま、エネルギーを発生させたり、物質を調べるための強力な道具(プローブ)になったり、がん治療にまで使われています。

私たちの研究室では、このように様々な応用に用いられる、一見“ワルモノ”、でも、上手く使うと素晴らしい仕事をしてくれる中性子を科学する(基礎&応用研究する)と同時に、その他の放射線(ガンマ線や荷電粒子)を用いた様々な研究を行っています。

中性子やその他の放射線は非常に小さく、目に見えません。被ばくの問題もあることから、その研究はそれほど簡単ではありません。 しかし、それが本当に役立つなら研究すべきであり、それが中々に難しいから、大学で先駆的に行うのだと思います。

そんな研究、一緒にやってみませんか。

平成26年4月1日

村田 勲