環境研究総合推進費(FY2021~2023)

2021年6月28日
  • 研究科題名:国および自治体の民生部門カーボンマネジメントシステムの開発
  • Tittel:Development of National and Local Governments’ Carbon Management System for Building Sector

当研究室では環境研究総合推進費 気候変動領域 環境問題対応型研究において、地球温暖化対策計画や地方公共団体実行計画(区域施策編)に基づく毎年の民生部門からのCO2排出削減量を、従来のエネルギー統計に、①研究チームで開発した、居住者行動や気象データ、建築の性能等に基づき機器毎の稼働を模擬し、気象の差異や地域内の建築・世帯のエネルギー消費特性の分布を再現できるボトムアップ型エネルギー最終需要シミュレーション、②環境省の家庭CO2統計等アンケート調査、③大量のスマートメータデータの3つのツールから構築したサイバーフィジカルシステムを用いて分析し、対策の進捗状況を詳細に把握し、国や自治体の計画の確実な達成に寄与することを目指し、以下の課題を解決していく。

・年々の気象変化影響は、温暖化対策計画が想定する1年当たり削減量の数倍あり、シミュレーションで気象影響を除去する手法を開発する。

・高効率機器・省エネ建築の導入効果について、従来の全国レベルの普及量では地域や世帯特性等の特性が反映できず、アンケートで地域別、世帯・建物別の導入量を明らかにし、シミュレーションでその差異を考慮した効果を算出する。また、スマートメータデータによるロードカーブを経年で比較し、シミュレーションを援用して太陽電池普及状況や、特定機器の電力消費変化を同定する手法を開発する。

・エネルギー市場の自由化により、電力会社の選択がCO2排出量に影響を与えるが、消費の大きな世帯が新電力に切り替える傾向がある。アンケート情報から世帯特性別の電力会社の選択状況を調査し、CO2排出の増減に与える影響を評価する。

上記目的のため、スマートメータデータからシミュレーション等を援用し機器エネルギー消費を推計する手法など3つのツールを相互に活用する分析手法を確立する。同時に、国および地方自治体の民生部門カーボンマネジメント状況を調査し、望ましいマネジメントのあり方を提言するとともに、必要なアンケートやデータ収集の要件を示す。