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2014年4月1日
研究

原子力工学「導電性混相流体の熱輸送と動力学」(量子エネルギー基礎工学領域)

従来より導電性の高効率熱伝達媒質である液体金属は,重要な機能材料として注目されており,高速炉の冷却材として利用されています。当研究室では,人間の目には美しい鏡面に見える液体ナトリウムが真空紫外の波長を感じる目には半透明であることを利用し,真空紫外光を効率的に散乱する追跡元素を添加して,輝度分布の2次元画像を高速カメラで観測することにより,液体ナトリウム内部における流れ場の高精度可視化を実現する研究を進めています。

当初は,フッ素エキシマレーザー光を誘導ラマン散乱で波長変換する方式を採用したことから,スペクトル強度の低い反ストークス成分を用いた液体ナトリウム の透過計測を実証規模に拡張するのが困難でした。これを解決するため,アルゴンのエキシマ分子を電子ビームで励起する高強度真空紫外光源に切り替え,原子 力機構等との連携のもと速度場計測の高性能化を図っています。また,機械的な外部摂動に対する応答特性や渦の構造形成に係わる動力学的な挙動を詳細に解析 して,混相流体における気液界面の動力学やエネルギーの散逸過程を明らかにするとともに,大規模渦模擬計算の結果との比較検討を行うことによって,従来の 理論模型を検証する試みを専攻内の講座間連携で行っております。さらに,液体ナトリウムが導電性の作動流体であることを鑑みて,電磁場による流れの構造制御に踏み込んだ基礎研究を展開し,原子力を含む幅広い分野における技術開発に資する学術基盤の構築に取り組んでいます。

原子力工学1S