Kan-Ene Topics! 環エネTOPICS!

2014年4月1日
研究

自己組織化ナノ構造を有するシリコン系熱電材料(環境エネルギー材料工学領域)

急冷したSi-CrSi2熱電材料の共晶組織の観察像環境エネルギー材料工学領域では、廃熱を直接電気エネルギーに変換できる熱電変換材料の研究に取り組んでいます。熱電変換は素子に可動部分がないため摩耗せず、信頼性が高く小型化が容易であるといった特徴を有しており、車や家庭における分散した廃熱の回収に適しています。しかし現在主に用いられている熱電材料は毒性やコストが高く、これが実用化を妨げる原因の一つとなっています。そこで私たちは安価で低毒性のシリコンに着目し、これをベースとした熱電材料の研究を行っています。しかしシリコンは熱伝導率が高く、材料へ流れる熱の多くをそのまま逃がしてしまうという欠点がありました。

そこで自己組織化によるナノ構造化について検討を行っています。自己組織化とは、粉砕等の外部からの力でなく、自身の反応などを利用して組織を形成することで、一般に必要なエネルギーが小さく大量生産が容易といった特徴があります。図(急冷したSi-CrSi2熱電材料の共晶組織の観察像)は共晶反応によるナノ構造化の例であり、熱電材料であるSiとCrSi2のナノコンポジットが形成されています。これにより電気的特性は損なわず、熱伝導率を1/3程度まで減少させることに成功しました。現在は更なる性能向上、他の材料系への適用に取り組んでいます。