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環エネTOPICS

2019年11月21日
教員・研究者

村田 勲 教授

教員紹介

氏名 村田 勲
職名 教授
学位 博士(工学)
領域 量子エネルギー工学講座 量子反応工学領域
領域HP

 

 

新しいがん治療:ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)研究

日本における死因の第1位はがんです。いま、がんの治療法の確立が急務になっています。がん治療法の一つに放射線治療があります。中でも、新しい「ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)」、が注目されています。BNCTは、ホウ素を腫瘍に蓄積させ、中性子を照射することで、
     10B(ホウ素) + n(中性子) → 4He(ヘリウム) + 7Li(リチウム)
反応が起こり、生成するヘリウムとリチウムの粒子(イオン)で腫瘍を破壊する治療法です。つまり、ホウ素を腫瘍にのみ蓄積させることができたら、腫瘍のみを破壊することができる、優れた治療法として知られています。現在はまだ普及していませんが、その研究開発は、日本が世界をリードしています。研究室では、BNCTに必要な、放射線計測法や治療効果推定法の研究、中性子源の開発など、様々な研究を行っています。

下の写真は、日本で製作、英国バーミンガム大学に持ち込み実験を実施した、阪大BNCTプロジェクトの中性子減速アセンブリです。陽子ビームが上部から体系内に入射し、中心部で中性子が発生、下部の照射エリアで治療を行います。実験では、この場所に人体ファントムを設置し、照射を行いました。この実験により、加速器を用いたBNCTの可能性を実証しました。

新しいがん治療:ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)研究

地上の太陽:核融合炉研究(核融合中性子工学研究)

太陽で起こっている核融合反応は、次に示す、4つの水素が結合(核融合)しヘリウムができるという反応です。
     1H(軽水素) + 1H + 1H + 1H → 4He(ヘリウム) + エネルギー (水素サイクル)
地上ではこの反応を起こすことは難しいので、(1)式に示す重水素と三重水素を融合させることでエネルギーをつくりだします。
     2H(重水素) + 3H(三重水素) → 4He + n(中性子) + エネルギー     (1)
この反応では、副産物として中性子が発生します。中性子は、物質を簡単に通り抜け、人体に悪影響を及ぼす可能性があります。しかし、その中性子が、エネルギーを運び出し、更に以下の反応により、燃料である三重水素を作り出しています(重水素は海にたくさん存在します)(リチウムも海にたくさん存在します)。
     6Li(リチウム) + n → 3H + 4He
地上の太陽:核融合炉研究(核融合中性子工学研究)つまり、中性子の挙動の理解と制御が核融合炉のカギを握っていると言えます。研究室では、加速器を用いて、実際に(1)の反応を起こし、出来た中性子(核融合中性子)を用いて様々な実験的研究を行っています。

右の図は、現在、フランスのカダラッシュで建設が進められている、国際熱核融合実験炉(ITER)です。トカマク型と呼ばれる形式で、中心のドーナツ状の容器に重水素と三重水ガスを導入し、(1)式の反応を起こさせ、エネルギーを取り出します。

放射線の物質との相互作用に関する基礎研究

私たちの研究室の研究は、すべて放射線に関係するものです。放射線の産業・医療への応用を目指しています。そのための道具として、「放射線計測」と「放射線の輸送計算」、があります。放射線計測は、様々な放射線(ガンマ線、電子線、陽子線、アルファ線、ベータ線、中性子線など)を、区別して計測し、そのエネルギーを知ることが目的です。そのためには、様々な検出デバイスがあり、その研究開発を行っています。また、放射線計測技術の開発・研究や、上で述べた研究テーマの研究では、放射線の挙動を理論計算で追跡する、ということを行います。電荷をもつイオンの輸送は、エネルギーが低い場合、困難性はありませんが、電荷を持たない中性子は、輸送計算が難しいことが知られています。中性子などの中性粒子の輸送計算を中心に、輸送理論の研究を進めています。

論文・著書リスト

  1. Xingcai Guan, Isao Murata, Tieshan Wang, “Monte Carlo Optimization of An Epithermal Neutron Flux Monitor for BNCT”, J. Nucl.Sci. Technol., 54[10], pp. 1118-1122 (2017).
  2. Mina Kobayashi, Fuminobu Sato, Isao Murata, “Feasibility Study on Real-Time γ-Ray Spectrum / Dose Measurement System”, Trans. Am. Nucl. Soc., 116, pp. 985-998 (2017).
  3. Shingo Tamaki, Fuminobu Sato, Isao Murata, “Study on a liquid-moderator-based neutron spectrometer for BNCT – Development and experimental test of the prototype spectrometer”, Nucl. Instrum. Meth. A870, pp.90-96 (2017).
  4. Isao Murata, Masayuki Ohta, Sachie Kusaka, Fuminobu Sato, Hiroyuki Miyamaru, “Thought Experiment to Examine Benchmark Performance for Fusion Nuclear Data”, EPJ Web of Conferences 153, 07015, 6p (2017).
  5. Isao MURATA, Shingo TAMAKI, Yuki OTANI, Yuta OHSAWA, Yusuke KASHIWAGI, Sachie KUSAKA, Fuminobu SATO, “Techniques to Measure Absolute Neutron Spectrum and Intensity for Accelerator Based Neutron Source for BNCT”, Plasma and Fusion Research, 13, 2501007, 5p (2018).

学生へのメッセージ

斑入りの葉っぱ頑張ることはとても大切ですが、マイペースで長続きさせることはもっと大切です。

趣味

お酒、斑入り植物(下の写真参照)、テニス、ハイキング

右の写真は、よく道端に生えているカタバミですが、時々このような斑入りの葉っぱも持つものがあります。これは、突然変異ですが、よく探すと意外にもどこにでも見つかります。なぜこういう葉っぱが出るのか、また、どうしたら継続(固定)させられるのか、趣味で研究しています。