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2019年11月21日
教員・研究者

松本 邦彦 助教

教員紹介

氏名 松本 邦彦
職名 助教
学位 博士(工学)
領域 共生環境デザイン学講座 共生都市計画学領域
領域HP

地域資源(歴史・文化・自然など)を活かしたまちづくり

ふだん普分たちが暮らしている地域について、じっくりと考えてみたことはありますか?
東京や大阪のような大都市、京都や奈良のような観光地だけではなく、どのまちにも特有の魅力があります。それは、まちの「らしさ」ということができるかもしれません。
「らしさ」が生まれる理由は、地域の自然環境や社会環境(コミュニティ、制度、慣習など)の影響を受けることで、家屋の建て方・建ち並び方、まちの構造、景観などが少しずつ異なっていくためです。さらには地域の産業や伝統・文化など、その他の要素も「らしさ」に影響します。そして、こうした地域を特徴付けている要素を地域資源と言うことができます。

一方で、現代の都市・地域は急速な発展・拡大・グローバル化と引き換えに、そうした「らしさ」を無くす方向、均質化する方向に進んできました。魅力や個性を失った都市・地域には生き生きとした暮らし、人々の市民としてのプライドも失われてしまいます。

私は、このような都市・地域における特有の魅力やらしさの価値を捉え、さらにそれを将来にわたって保全していくための制度やまちづくりについての研究を行っています。
さらに、地域組織や地方公共団体との共同によるまちづくりの方策検討、地域の魅力を伝えるための企画やツアーなどの実施も行っています。

文化的景観の保全・活用

文化的景観とは2004年の文化財保護法改正に伴い新たに登場した文化財で、地域の暮らしや生業(産業)と密接に関わりながら、長い年月をかけて培われてきた地域の景観そのものを文化財として保護する制度です。
棚田、湖でのヨシ産業、草地など日本固有の風景が保護対象となっていますが、その保全にあたっては、形態や色彩と整えるだけでなく、景観を下支えしてきた地域の産業、コミュニティの仕組みも併せて継承していくことが重要になり、工学の範疇を超えたアプローチが必要となります。

私は制度をうまく使いこなす方法、文化財選定をきっかけに地域が一体となって動き出す方法、現代のライフスタイルの変化と折り合いをつけながら景観を保全してい方法について研究しています。

地域での実践活動(実際のまちづくりの現場を大事にしています)

  • 上町台地「オープン台地」
    歴史的・文化的資源の宝庫である大阪市の上町台地一帯の魅力発信を行う、オープン台地実行委員会のメンバーです。
    オープン台地(facebook)
  • いばきたデザインプロジェクト
    大阪府茨木市の北部山間地で、人口流出と農林業従事者の高齢化による、産業や環境保全の課題解決に向けて、茨木市役所ほかと、地域内外のさまざまな人たちが地域に関心を持ち、課題に取り組んでいくことができる「仕組み」をデザインする取り組みを行っています。
    いばきたデザインプロジェクトHP

論文・著書リスト

  1. 店舗へのコンバージョンが歴史的市街地の保全と活性化に与える影響-中国・武漢市タンファリン歴史的街区を事例に-,松本邦彦,澤木昌典,公益社団法人日本都市計画学会都市計画論文集,Vol.52, No.3, pp.1226-1231,2017年10月,学術論文
  2. 重要文化的景観選定後の保存体制における住民活動組織,松本邦彦,坂井亮文,澤木昌典,日本造園学会ランドスケープ研究,Vol. 80, No.5, pp.553-558,2017年04月,学術論文
  3. 歴史的風致維持向上計画における歴史的資源の位置づけに関する研究,松本 邦彦,朴 弘烈,澤木 昌典,日本造園学会 ランドスケープ研究,Vol. 79 No.5 635-640,2016年04月,学術論文
  4. 松本邦彦(分担執筆),小さな空間から都市をプランニングする,日本都市計画学会 都市空間のつくり方研究会編,2019年04月
  5. 松本邦彦(分担執筆,3章 土地利用計画),図説都市計画、澤木昌典・嘉名光市編、2022年11月

受賞

  1. 日本都市計画学会 2022年 年間優秀論文 大都市圏郊外住宅地に立地する親世帯住宅の近居子世帯による継承に影響する要因 日本都市計画学会
  2. 公益社団法人日本造園学会 平成29年度奨励賞(研究論文部門)
  3. 公益社団法人日本都市計画学会 平成21年度論文奨励賞