研究テーマ
ビスフェノールA、ビスフェノールFおよびビスフェノールSの環境挙動に関する研究

担当:D4 Danzl Erica, M2 原 昇司, M1 野本 直樹

【研究背景・目的】                      
ビスフェノールA (BPA: 図1) はポリカーボネート樹脂およびエポキシ樹脂の原材料、缶詰のラッカーコーティング、歯科材料などの幅広い用途で用いられている。近年、BPAの使用に伴い、河川表層水などの水環境中から高頻度で検出されている。また、BPAは微弱ながら急性毒性およびエストロゲン様活性の疑いがあり、生態系への悪影響が懸念されていることから、水環境中での挙動を調査する必要がある。また、生態系への悪影響が懸念されていることから、近年では、BPAの使用を控える動きが広がっており他の代替物質の使用が広がっている。 ビスフェノールF (BPF: 図1) およびビスフェノールS (BPS: 図1) はBPAの代替物質として生産量が増加しており、近年その生産量が増加しているものと推測される。BPFは、消費量の増加に伴い、近年ヨーロッパ各国の河川表層水および産業廃棄物処分場の浸出水など水環境中から検出されており、BPSもオランダの河川表層水から検出されていることから、BPFおよびBPSの水環境中での汚染は広がっているものと推測される。また、BPFおよびBPSは微弱ながら急性毒性および内分泌かく乱性の疑いがあることから、生態系への悪影響が懸念されており、水環境中での挙動を解明する必要がある。 現在までに、BPA、BPFおよびBPSの水環境中での挙動について調べた研究例はほとんどなく、さらに研究を行っていく必要がある。そこで本研究グループでは、BPA、BPF、BPSのリスク評価を行うことを最終的な目標とし、リスク評価を行う際に必要となるBPA、BPF、BPSの水環境中での挙動の解明を行っていく。今年は特にこれまでに本研究室で分離したBPF分解菌Sphingomonas yanoikuyae FM-2によるビスフェノールFの分解特性および代謝経路およびBPA、BPFおよびBPSの水実環境中での挙動を解明するために必要な基礎的検討を行う。

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