研究テーマ
円石藻類の環境利用に関する基礎的研究

担当:長谷川裕晃(2003.04.01(B4)~2006.03.31(M2))

はじめに
 円石藻類は、世界中の海洋に生息しています。体長は約5~10µmで、下の写真のようにココリスと呼ばれる鱗片を体表面に形成します。このココリスの形態的相違に基づいて種の分類が行われており、現在までに約200種が確認されています。また、ココリスの形成要素は主としてCaであるが、それ以外にMgやZnといった金属類もココリス形成要素となりうることが知られています。このように円石藻類は、ココリスを形成することで無機物の形での炭素固定を行う能力を有しています。ココリス生産に伴い深海及び海底へ炭素を輸送する働きを担うため、地球規模での炭素循環に多大な影響を与える生物であると考えられている。このような背景から、円石藻類の生活環やココリス形成メカニズムの研究が、主に生態学的視点から活発に行われているものの、円石藻類を積極的に工業的環境利用する研究はほとんど行われておらず、今後の検討が待たれているという状況です。

研究概要
 本研究では、円石藻類のココリス形成メカニズムの解明、及びココリス生産能の工業的利用を目的としています。具体的には、ココリスが炭酸塩であることを応用して、円石藻類に金属を取り込ませ、希少金属類及び近年問題視されている有害金属類を、ココリスの形で除去・回収することを試みるつもりです。一方、CaCO3を主成分とするココリスは、原則的には分解されないという有用性を利用し、ココリス生産能の最適条件を検討することで、地球温暖化の一要因であるCO2の固定化も行います。これらに加えて、円石藻類を中心として考えた海洋モデルを構築することを考えています。



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