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量子エネルギー材料の研究

被覆管・金属水素化物の基礎物性測定

長期間高圧・高温の水にさらされる被覆管では酸化物や水素化物が生成し、これらが脆化を引き起こします。こうした影響を実験および電子状態計算などミクロな視点から解き明かすことを目的としています。また、この研究を通して、ある種の金属は水素の添加により軟らかくなることがわかりました。様々なデータから、この挙動を明らかにすることを試みています。

燃料の高燃焼度化にともなって、被覆管が腐食し水素化物が形成されます。水素化物は脆いため健全性を低下させ、また機械的性質を変化させることが知られています。図1は析出した水素化物の分布と結晶の配向性を測定した結果です。また図2はジルコニウムに水素を加えた時の弾性率の変化を示しており、水素が固溶する領域では弾性率が減少することがわかりました。

図1 被覆管の(a)相状態および(b)配向性マップ

図2 水素化したジルコニウムの弾性率

 

高燃焼度化における燃料の安全性の向上のため、被覆管中における水素の挙動を把握する必要があります。しかし水素の移動はかかっている力や温度など多くのパラメータに依存するため実験的な評価が難しく、計算による評価が有効といえます。図3は有限要素法計算によるき裂先端での水素濃度の時間変化を示しており、数秒程度のごく短時間でき裂先端に水素が濃化していることがわかります。

図3 き裂先端付近での水素濃度の時間変化

 

 

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