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量子エネルギー材料の研究

 福島第一原子力発電所では炉心損傷事故により、燃料デブリが発生しました。原子炉の廃炉のためには燃料デブリを取り出す必要があり、デブリを取り出す工法や工具の選定のためには燃料デブリの硬さや脆さといった物性を把握することが重要となります。そこで我々のグループでは、燃料デブリに含まれると考えられる物質を合成し、その物性を測定することで燃料デブリの物性の評価に取り組んでいます。

 燃料デブリにはホウ素の化合物であるボライドが含まれていると考えられています。ボライドは一般的に硬くて脆い性質を有しているため、重要な物質です。我々のグループではこれまでにZrB2やFe2Bといったボライドを合成し、図1のようなビッカース硬さ試験等の試験を行うことでその性質を調べました[1,2]。その結果、ボライドは予想通りUO2やステンレスとは大きく異なる性質を有していることが明らかとなりました。

 

図1 ビッカース硬さ試験の様子

 

[1] F. Nakamori, Y. Ohishi, H. Muta, K. Kurosaki, K.-I. Fukumoto, and Shinsuke Yamanaka, “Mechanical and thermal properties of bulk ZrB2”, J. Nucl. Mater. 467 (2015) 612-617.

[2] 中森 文博,大石 佑治,熊谷 将也,牟田 浩明,黒崎 健,福元謙一,山中 伸介, "Fe2Bの機械的および熱的物性", 日本原子力学会和文論文誌,  15, 223-228, 2016.

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