研究テーマ
バイオマスからのエネルギー回収技術の比較評価

担当:M1 岩井 良真

【研究背景・目的】
 地球温暖化問題を背景に二酸化炭素(CO2)の排出抑制と化石燃料の使用削減が強く求められるようになっている。しかし、CO2排出量は依然増加傾向にあり、日本では2003年度には1990年に比べて約8.3%の増加となった。化石燃料の枯渇の影響も考えれば、将来まで持続可能な社会を達成し続けるために、更なる省エネルギー化の推進や代替エネルギーの利用を行う必要がある。代替エネルギーの一つであるバイオマスエネルギーは、『カーボン・ニュートラル』の特性を有していることから、CO2排出抑制対策のためにその利活用が望まれている。2002年に掲げられたバイオマス・日本総合戦略では、2010年度までにバイオマス熱利用原油換算308万klの導入やバイオマス発電の大幅増加を図ることを目標に置くなど、近年、バイオマスエネルギーの利活用に向けられた動きが高まっている。 図-1に、種々のエネルギー源となるバイオマス、エネルギー変換技術、獲得されるエネルギーを示す。エネルギー源バイオマスは、固体状(木質系)、半固体状(汚泥など)、液体状(家畜廃棄物など)と様々な形状を有し、含水率、成分なども異なってくる。またバイオマスを変換する技術も様々であり、その変換方法によって獲得されるエネルギーの質、形状も変化する。このようにバイオマスエネルギーを獲得するまでには多種多様な因子、工程が考えられるため、バイオマスエネルギーを有効活用するためには、バイオマスの生産からエネルギー回収までの全工程における影響を総合的に評価する必要がある。そこで、エネルギー源バイオマスから、どのエネルギー変換技術によって、どのようなエネルギーが獲得されるかの流れを様々な評価軸から体系的に示すフローチャートが存在すれば、バイオマスエネルギーの有効利用に、また、バイオマスエネルギーを利用、推進するための意思決定に貢献することが期待される。 本研究では、まず様々な評価軸を考慮した中で、エネルギー源バイオマス、エネルギー変換技術、獲得エネルギーの一連の流れを体系的に示すフローチャートを作成する。次に、作成したフローチャートの中からバイオマスエネルギーの利用に有用なバイオマスを選定し、選定バイオマスの生産量からエネルギー回収量までを定量的に評価する。また、様々なエネルギー変換技術の性能比較を行い、最適なエネルギー変換技術システムを構築することを目的とする。


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