研究テーマ


担当:木庭大輔 (2003.04.01(B4)〜2006.03.31(M2))

研究背景及び目的

   カドミウム(Cd)による土壌汚染は日本各地で確認されており、特に農用地に着目すると、平成14年までに収穫された玄米中に含まれるCdが基準値以上検出された水田は6683haあり、その15%にあたる1024haは現在もまだ対策事業が完了していない現状である。さらに今年の9月に現在の国内基準よりも厳しく、さらに規制対象作物が広範にわたる国際基準が制定されることで、国内基準の見直しが検討されている。これに伴い、浄化対策が必要とされる地域の増加が予想される。現在Cdの土壌汚染に対して行われている対策手段は土木的方法であるが、この方法では土壌からCdを除去できず、また工事費用が高いといった問題点がある。そこで低コストで土壌からCdを除去できる手法であるファイトレメディエーションが注目されている。しかし、この手法は浄化に長期間かかるという欠点がある。この手法の浄化効率は植物のCd吸収・蓄積能力と土壌中のCdの溶出量に大きな影響を受けることから、Cd蓄積能力の高い植物とCd溶出効果のあるキレート剤や有機酸などを併用することにより浄化効率を向上させることが期待される。

 そこで本研究では、植物とキレート剤や有機酸を併用したカドミウム汚染土壌の浄化技術の確立を目的として、昨年まではカラシナ(Brassica juncea)とエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を用いて検討を行ってきた。しかし、EDTAは生分解性が低く環境中に残留しやすく、植物の生育に必要な土壌栄養素を溶出させるため、農用地にEDTAを添加することにより土壌の劣化を招くといった問題点がある。そこで生分解が可能で、浄化後の土壌に残らないキレート剤や有機酸を検索し、そのCd溶出効果、植物のCd蓄積促進効果の検討を行う予定である。



研究テーマ一覧へ
目次へ