研究テーマ
水生植物根圏における有機化学物質の分解・除去促進効果
(Accelerated Purification of Organic Compounds in Aquatic Plant Rhizosphere)

担当:M1 于 寧, M1 古川 哲也
(Persons in charge: YU NING,Tetsuya FURUKAWA)

【研究背景】
水生植物を利用した植生浄化法は,富栄養化対策技術として水域における直接浄化,下水二次処理水からの栄養塩の除去などに適用されているが,有機化学物質汚染に関しては効果が低いとしてその適用が制限されてきた.


一方,陸生植物を利用した土壌浄化法,中でも植物の根圏を浄化装置として活用した根圏浄化法が大きな注目を集めている.この浄化法によると,根圏では植物の根とその近傍に生息している根圏微生物がそれぞれ浄化機能を持っており,さらに両者の間に共生関係が築かれているため,浄化機能が相乗的に働く.そのため,根圏では非根圏に比べて有害化学物質の分解除去が促進され,植物や微生物単一で見られる以上の浄化効果が期待される.現在,石油系,農薬や芳香族化合物などの汚染サイトの一部では既に実用段階に達しつつある.


陸生植物根圏の浄化作用が,もし水生植物の場合においても発揮できれば,水生植物を利用した水質浄化法は富栄養化に加え,有害化学物質の浄化にも対応できる新たな水質浄化法として利用できると考えられる.しかし水生植物の根圏の浄化能力に関する検討例はほとんどなく,不明な点が多く残されている.

【研究目的】
水生植物根圏が持つ有害化学物質の分解除去促進効果を評価するとともに,そのメカニズムを検証すること

【供試水生植物】
本研究では,水生植物の代表として浮遊植物ウキクサ(Spirodela polyrrhiza)とボタンウキクサ(Pistia stratiotes L.),抽水植物ヨシ(Phragmites australis)を用いている.ウキクサとボタンウキクサは,世界各地に分布する浮遊水生植物であり,ヨシは湿地,湖沼や河川で多く見られる抽水植物であり,増殖力,栄養塩除去能に優れることから,水質浄化への活用としては特に下水二次処理水等の栄養塩あるいはBOD除去として適用された実績もあり,本研究において供試植物として採用した.


【対象有害化学物質】
浮遊植物根圏に関しては,世界各地の水環境の水質および底質中で比較的高頻度で検出され,水生生物への悪影響が懸念される優先検討対象物質であるフェノール,アニリン,2,4-ジクロロフェノール(2,4-DCP)と,ナフタレンやピレンなどの多環芳香族化合物(PAHs)や界面活性剤を対象として実験を進めている.

【実験の様子】
 

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