研究テーマ
Bacillus sp. SF-1 の亜セレン酸還元遺伝子の解析

担当:B4 永野 公太

【研究背景・目的】
セレン(Se)は工業的によく利用されている元素であるため、工場からの排水や工場跡地などでのセレン酸化物による汚染がしばしば報告されている。現在のセレン酸化物の除去では、物理化学的な処理がとられている。しかし、この方法は亜セレン酸に対しては有効であるがセレン酸には効率の良い除去方法ではない。物理化学的処理以外に有効なセレン酸化物の除去方法は確立されていないため、現状の技術ではセレン酸化物に対する排出基準の達成は困難なものとなっている。 このような背景のもとで本研究グループでは、SF-1を用いた生物化学的な浄化処理の検討を行っている。SF-1は嫌気条件下で硝酸、ヒ素酸化物、セレン酸化物など複数の物質を還元することが可能な非常に稀有な微生物である。さらに、この微生物は好気条件下での培養が非常に容易であるため、ヒ素酸化物やセレン酸化物の浄化への適用に期待が寄せられている。しかし、この微生物の各物質の還元に関する遺伝子構造についての知見はあまり得られていない。特にセレン酸化物の還元遺伝子については、セレン酸から亜セレン酸への還元に関わる遺伝子は3種類確認されているが、亜セレン酸から元素態セレンへの還元遺伝子についての知見が少ない。そこでSF-1の亜セレン酸から元素態セレンへの還元機構に関する遺伝子の解析を行い、そのメカニズムを解明することでセレン酸化物浄化技術確立の足がかりとすることを本研究の目的とする。


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